事業主は 、女性労働者が妊産婦のための保健指導又は健康診査を受診するために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません(男女雇用機会均等法12条)。
具体的には、①健康診査の受診時間 ②保健指導を直接受けている時間 ③医療機関等での待ち時間 ④医療機関等への往復時間をあわせた時間を考慮にいれて、十分な時間を確保できるようにしなければなりません。
したがって、上記①~④の時間については休むことができます。
事業主は、女性従業員の対して、①妊娠23週までは4週間に1回 、②妊娠24週から35週までは2週間に1回 、③妊娠36週以後出産までは1週間に1回 の健康診査のために必要な時間を確保しなければなりません(男女雇用機会均等法施行規則2条の4第1号)し 、医師又は助産師(以 下「 医師等 」といいます 。 )がこれと異なる指示をしたときは、その指示に従って、必要な時間を確保することができるようにしなければなりません(男女雇用機会均等法施行規則2条の4第2号)。
妊娠中及び出産後の女性労働者が 、健康診査等を受け 、主治医等から指導を受けた場合 は、その女性労働者が、受けた指導を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません(男女雇用機会均等法13条)。具体的には①妊娠中の通勤緩和 ②妊娠中の休憩に関する措置 ③妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置です。
妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければなりません(労基法65条3項)ので、配置転換を要求することができます。ただし、行政解釈(昭和61/3/20基発151号)によれば、新たに軽易な業務を創設して与える業務まで課したものではないとされています。
また、使用者は、妊「産婦」(産後1年間を経過しない女性も含みます。)が請求した場合においては、一週間40時間、一日について8時間の労働時間を超えて労働させてはならないとされています(労基法66条1項)。したがって、法定残業の拒否をすることができます。
さらに、使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない(労基法66条)ので、夜10時~早朝5時迄の深夜労働を拒否することができます。
産前休業は、出産以前六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)前から可能です。
ただ、育児休業は、女性が使用者に対して産前休業を請求しなければならず、請求しない場合には、当然に産前休業が発生するものではありません。
健康保険の被保険者の方は、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金(収入の約67%程度)が支給されます。